河川管理の状況が変化
近年では、河川管理の状況が大きく変化してきています。
平成9年の河川法改正では、従来の治水・利水に加えて河川環境の整備と保全が目的として加えられてから、貴重な水と緑が豊富な河川の役割が見直されています。
河川工事によってコンクリートブロックばかりの護岸になったという反省から、潤いのある水辺空間や多様な生物の生育環境を保全し、地域の風土を生かした河川づくりが求められています。
そこで地域住民の意見なども反映して、長期的な河川整備計画が策定されるようになりました。
総合的な治水対策
最近は予想をはるかに超える集中豪雨や大型台風などの頻発により、都市部に限らず全国的に、深刻な浸水被害が発生しています。
都市の浸水被害を軽減するためには、河川整備だけでなく地域全体で雨水の排出制限に取り組むことが重要です。
水害対策としては、高規格堤防や防災ステーション、堤防拡幅などによる堤防強化、洪水ハザードマップの整備による、洪水時の円滑な避難誘導などが行われています。
一級河川と準用河川
一級河川は、国土の保全上または国民の財産上、特に重要な水系で国土交通省が指定します。
関東地方の一級河川には、利根川、荒川、江戸川、鬼怒川などがあります。
一級・二級以外のものが普通河川で、通常は市町村が管理します。
準用河川は、普通河川のうち市町村が指定するもので、二級河川に関する規定が準用されます。
河川の堤防の被災形態
洪水による河川の堤防の決壊には、
①浸透による堤防決壊
②侵食・洗掘による堤防決壊
③越水による堤防決壊、があります。
※出典「堤防決壊の事例」内閣府 防災情報より
①浸透による堤防決壊は、河川の水位の上昇によって堤防内部や地盤内に水が浸透して、堤防が崩れるものです。
②侵食・洗掘による堤防決壊は、流水によって堤防が直接侵食ささて決壊するものです。
③越水による堤防決壊は、河川の水位が上昇して越流することで堤防が崩壊するものです。
河川の堤防に求められること
河川の堤防には、①浸透に耐えること、②流水による侵食に耐えること、③地震による沈下や崩壊のないことが求められます。
大水害 「安全対策」完全ガイドブック (日本語) 単行本 – 2019/12/17