物権的請求権

物権的請求権は、①物権的返還請求権、②物権的妨害排除請求権、③物権的妨害予防請求権の3つに分類されます。

①物権的返還請求権

物を占有すべき物権者が目的物の占有を失った場合に、その返還を請求する権利のことです。例えば、BがA所有の自転車を奪い、これを勝手に使用している場合、自転車の所有者Aは、Bに自転車の引き渡しを求めることができる権利です。これは、詐取や遺失の場合も含みます。

②物権的妨害排除請求権

占有の侵奪以外の方法で物権が違法に侵害されている場合に、妨害物の除去や妨害行為の停止などの行為を求める請求権をいいます。例えば、台風によりBの庭から大きな老木がAの庭に倒れてきた場合に、この土地の所有者であるAはBに対し、老木を除去するように求めることができます。

③物権的妨害予防請求権

将来、物権に対する違法な妨害状態が生ずるおそれが強い場合に、その原因を除去して妨害を未然に防ぐ措置を講ずるよう請求する権利をいいます。例えば、B宅の庭の老木がAの庭に倒れかかっている場合に、AはBに対し「老木が倒れないようにしろ!」と求めることができます。

煙山 光宏

1970年生まれ。
フソウ開発工業株式会社の2代目社長であり、けむやま行政書士事務所の代表行政書士です。