人手不足と高齢化

働く人手不足がどの業界でも問題となっていますが、土木工事業界でも人手不足は深刻です。どのような要因があるのか考えてみたいと思います。

 

まず、公共工事に関しては、どうしても1年を通して平均した工事の発注・受注というのが難しく、閑散期と繁忙期の差が激しいのが現状です。

そのため一人親方の労働者など、自分で高額なダンプトラックやバックホウなどを購入して働く人は、思ったように稼ぐことができずに、廃業してしまう人も少なからずいるようです。

法人も同じで、春から夏の間社員を遊ばせずに仕事をどうやって確保するかが課題となっています。

ちなみに弊社に技術集積のある河川の築堤(川の土手)工事は、河川法により出水期(梅雨や台風の多い時期)に土手を削ったり盛ったりしては原則ダメと決まっています。

工事中に河川が氾濫し決壊たら多くの人の命に関わるからです。

そのため毎年11月から一斉に工事が始まり、年度末の工期に向けて工事が集中するのです。

 

次に、イメージの悪さと過酷な作業現場の問題です。

昔から土木現場で働く人は「キツイ・汚い・給料安い」の3Kとよく言われていましたが、最近では「キツい、汚い、危険、給料安い、休暇が取れない、帰れない、結婚できない、会社に殺される」で8Kと言っている人もいるくらい人気のない職業となってしまいました。

若い人に限らず、新しく土木工事の世界へ入ってくる人が少ないように感じます。

一流大学を出た若者が土木作業員を目指すかと言ったらほぼ皆無に近いのではないでしょうか。

ワケ有りで仕方なくたどり着いたという人も少なからずいるようです。

残念ですが目指して来るほど魅力が感じられないのかもしれません。

学歴はあっても学力がない人、体力はあっても根性がない人は、そこに「やりがい」というか「目的」を見出せないと、どんな仕事をしてもキツイのかもしれません。

 

さらに、今の現役世代の仕事の確保と将来の新規入場者の問題があります。

例えば、冬の間に河川工事が施工されるため、雪深い地方(北海道、新潟、長野など)の労働者が地元では仕事が少ないので関東地方まで出稼ぎに来ることがあります。

現役世代の彼らは「稼ぎに」わざわざ遠くまで来ているのに、最近の公共工事は「土曜・祝日は完全休業」となる傾向にあり、平均すると月20日くらいしか働けないのです。

年末年始はもっと少なくなりますし、関東でも雪や雨が降れば作業日数は減ります。

なぜ休みを増やすのかといえば、若い世代に安心して業界に入って来て欲しいからです。

このような取り組みを継続していますが、現実問題として現場で若い作業員が増えている実感は全くなく、むしろ現役世代の作業員たちが働き辛くなって困っているのです。

日本の人口が減少傾向にあるのだから無理もありません。減っていくパイを様々な業種で取り合っても仕方ないし、どうしてもその時代の人気業種にはかないません。

それでも各現場の元請け企業では、高校生や大学生を現場に招いて「現場見学会」を行うなど努力を続けています。

 

最後に作業員の高齢化問題です。

人は必ず歳をとりますし体力・気力が衰えてきます。

現状を言い換えれば、なんとか気力・体力が残っている人の老体に鞭打って頑張ってもらわなければ今の仕事量はこなせないということです。

ちなみに現在社員の平均年齢はちょうど50歳。

最近はICT建機での施工が条件となる工事も増えてきています。

しかしこれらの重機は問題・課題も多く、まだまだベテランの熟練オペレーターには敵わないようです。

「誰でもコンピューター制御された重機に乗れば一定の結果が出せる」ようになれば1年目の人や女性でも働くチャンスが出て来るかもしれません。

 

人の問題はいつの世でも存在していたと思います。

ダーウィンの言葉に「この世に生き残る者は、最も力の強い者でも最も頭のいい者でもない。それは変化に対応できる者だ。」とあります。

これからの10年後、20年後の未来のために「打つ手は無限」、行動あるのみです!

煙山 光宏

1970年生まれ。
フソウ開発工業株式会社の2代目社長であり、けむやま行政書士事務所の代表行政書士です。