事業協同組合の設立から管理団体許可 外国人技能実習生の受け入れまでの流れ【まとめ】

1.事業協同組合の設立

事業協同組合とは会社等が4社以上集まって、取引などの競争力を高め、互いの利益のために共同事業を行う「非営利」法人です。

技能実習生受け入れのために必要な監理団体許可は「非営利」法人しか受けることができません。

技能実習はこの共同事業の一つとして、「外国人技能実習生の受け入れ事業」といった形で行われます。

事業協同組合設立のために要する期間は、およそ6カ月です。

2.監理団体許可

事業協同組合の登記が済んだら、次に監理団体許可を取る必要があります。

監理団体とは、外国人技能実習生を受け入れる際、実習先(実習実施者)で適正に実習が行われているか監理する団体のことであり、事業協同組合が当該許可を得て監理団体となります。

監理団体許可を得るために要する期間は、およそ2~4カ月です。

3.実習実施計画の認定

監理団体許可を得られたら、いよいよ技能実習生を受け入れる準備に入るわけですが、そのためにはまず、実習実施者が実習実施計画を作成し、認定を受ける必要があります。

実習実施計画とは、それぞれの実習生が実習先でどのような内容の実習を行うのか、きちんと計画しておくものです。これについて、技能実習機構に提出し、認定を得る必要があります。

実習実施計画の認定には、3カ月程度を要し、作成の期間などを考えれば4か月弱程度は必要です。

4.在留資格認定証明書の交付

実習実施計画が認定されれば、実習生を海外から呼び寄せる必要があります。

外国人である実習生を海外から呼び寄せる場合には、在留資格認定証明書の交付申請を入国管理局に対して行い、証明書の発行を受けます。

この証明書を現地の実習生の元へ送付し、実習生はこれをもって、日本大使館や領事館などの在外公館に査証の発給を申請します。

査証が発給されれば、査証を得たパスポートと在留資格認定証明書を持って、ようやく日本へ入国・上陸することができます。

在留資格認定証明書の交付申請はおよそ審査に2週間かかり、証明書の海外への郵送、送出し国での査証手続きを考えると余裕をもって2カ月と考えてください。

5.入国後講習

実習生が日本に入国しても、すぐに実習先で働けるわけではありません。

実習生は、入国後、1カ月から2カ月の入国後講習を受ける必要があります。

入国後講習の内容は、日本語教育や、日本の慣習・マナーといった一般的なことから、入国管理法・技能実習法・労働基準法等、実習生の法的保護のために必要な講習が行われます。

入国後講習は外部に委託することも可能ですし、監理団体が自ら行うこともできます。

6.実習先へ(実習実施者)

入国後講習が終われば、実習先での実際の実習に入ります。

雇用契約はこの時点から発効し、給料の支払い義務等が発生します。

実習先では、先に技能実習機構に提出した、実習実施計画に正確に沿った実習を行うことになります。

まとめ

外国人技能実習制度を利用するために契約が必要な協同組合ですが、既存の協同組合や監理団体との契約ではなく、実際にご自身で設立するとなると多くの手続きを必要とします。

また、設立してもすぐに実習生を入れることができるわけではありません。

しかしながら、協同組合には税制優遇や業界の発展に寄与できるというメリットもあります。

既存の協同組合をよく研究し、必要があれば設立もお考えになると良いと思います。

 

煙山 光宏

1970年生まれ。
フソウ開発工業株式会社の2代目社長であり、けむやま行政書士事務所の代表行政書士です。