経営事項審査

現役社長による建設業法下の解説わかりやすく助かります。
公共工事の入札に影響のある経審の点数ですが、そもそもこの経審は会社の経営にとってどれくらい重要なのでしょうか?

ご質問ありがとうございます。

元請けとして工事を請け負うことがない会社(下請け工事のみの会社)であれば、「経営事項審査(以下、経審という。)」を毎年行う必要はなく、「事業年度終了報告」を提出すればOKです。その会社の経営規模や受注戦略によっては、経審の点数を上げること⇨「入札参加資格の申請時の格付の決定」は非常に重要となります。

(建設業法第27条の23第1項)
「公共性のある施設又は工作物に関する建設工事で政令で定めるものを発注者から直接請け負おうとする建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、その経営に関する客観的事項について審査を受けなければならない。」

「経審」とは、公共工事を直接請け負おうとする建設業者について、その業者の経営規模、財務内容など経営に関する事項の審査を建設業法に基づき行う審査です。

「経審」の義務付けの対象となる公共工事は、国、地方公共団体、法人税法別表第1の公共法人及び特殊法人等が発注者で、工事1件の請負代金の額が建築一式工事にあっては1,500万円以上、その他の建設工事にあっては500万円以上のものです(ただし、物理的、経済的に影響の大きい災害等により必要を生じた応急の建設工事等については対象外)。

建設工事が公共工事であるか民間工事であるかを問わず、建設業法第3条に基づき「建設業の許可」を受けなければなりません。

ただし「軽微な建設工事」のみを請け負って営業する場合には、必ずしも建設業の許可を受けなくてもよいとされています。ここでいう「軽微な建設工事」とは、次の建設工事をいいます。

①建築一式工事については、工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事

●「木造」…建築基準法第2条第5号に定める主要構造部が木造であるもの

●「住宅」…住宅、共同住宅及び店舗等との併用住宅で、延べ面積が2分の1以上を居住の用に供するもの

② 建築一式工事以外の建設工事については、工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事。

例えば、今まで「建設業許可」がなく1件あたり500万円未満の土木工事を下請けしていたけど、もっと大きな工事も請け負いたいとなると、「建設業許可」を取らなければなりません。

その後、下請け工事だけでなく、元請けとして直接、発注者から工事を直接請け負いたいとなると、経審⇨入札参加資格の申請が必要となります。

ちなみに「建設業許可」の要件は以下を全て満たしていなければなりません。

1 「経営業務の管理責任者」がいること

2 「専任技術者」を営業所ごとに置いていること

3 誠実性を有していること

4 財産的基礎または金銭的信用を有していること

5 欠格要件に該当しないこと

行政書士は、「建設業許可」を新規で申請しようとする建設会社には、あらかじめ1から5を確認し満たしていなければ仕事を受任できません(許可がおりないので、報酬をいただけません。)

煙山 光宏

1970年生まれ。
フソウ開発工業株式会社の2代目社長であり、けむやま行政書士事務所の代表行政書士です。