はみ出した樹木の法的リスク 住宅街で安全と美観を両立する方法

生垣や樹木がもたらす安らぎと安全性の双方

住宅地の生垣や樹木は、人々に安らぎを与えると同時に、防災や防犯に貢献しています。

緑の効果は測り知れないものがありますが、その一方で道路へのはみ出しは交通の安全を脅かす可能性があります。

今回は、この問題にどのように対処すればよいか、また法的な背景について詳しく見ていきましょう。

はみ出した樹木と法的責任

私有地からはみ出した樹木は、土地所有者の所有権下にあります。

このため、はみ出した枝などが事故の原因となった場合、賠償責任が生じることが考えられます。

特に民法第717条や道路法43条に基づく責任が発生します。

また、道路法によれば、通行の安全を確保するため、車道の上空4.5メートル、歩道の上空2.5メートルの範囲には、電柱や信号機、樹木などの障害物を置いてはいけないと定められています。

私有地からはみ出した生垣や樹木は、この法令に違反することとなります。

対応策と自治体の役割

  1. 土地所有者への連絡: 邪魔な生垣や樹木を発見した場合、最初に行うべきはその土地の所有者に連絡を取ることです。
  2. 自治体の窓口: 地方自治体には、このような問題を解決するための窓口があります。自治体が街路樹の剪定を行うのは、道路法や道路構造令に基づく責任があるからです。
  3. 民法の改正: 令和5年4月の民法改正により、越境して伸びている枝の剪定が一部許容されました。これは、空き家問題などを背景に導入されました。

まとめ

住宅地の生垣や樹木がもたらす利点は多いものの、道路の安全を確保するためには適切な管理が求められます。

法的背景を理解し、安全な環境の実現に努めることが、私たち一人ひとりの責任と言えるでしょう。

煙山 光宏

1970年生まれ。
フソウ開発工業株式会社の2代目社長であり、けむやま行政書士事務所の代表行政書士です。