vol.104_教えるより気づかせる。【和談】1614

社員に必要なスキルや知識を、上司や先輩などが実務を通じて指導していく教育方法をOJT「On the Job Training」といいます。

しかしここで気をつけて欲しいことは、社員に仕事の具体的なやり方を教えると、可能性が乏しい社員が育つということです。

なぜかというと、言われたことしかやらない社員になるからです。

そうではなくて、いろんなことを体験・経験させるようにしていくことがとっても重要になります。

それを積み重ねた結果、違いがわかる社員になり、違いに気づいた分だけ人は成長していきます。

例えば、その日の作業が終わったら「和談」の時間をもうけ、作業の中で何を感じたか「自分の考え」や「今日の気づき」を報告させるようにしてください。

「和談」というのは、お互いに相手の意見を否定せず、共同的に話し合いをすることで、 発見、成長につながりやすいんです。

その中で、どんなことに気づいたかを土木工事であれば現場の監督が、フィットネスであれば店長が、一語一語拾っていくんです。

気づきが良かった人に対しては、次のステージを用意してあげる。

これが教育なんです。

 

教え方を間違えている人は、ゴールが10段目だとしたら10段目からやり方を教えているんです。

これは教育ではないんです。

教育というのは、1段目にいる人を2段目へ、2段目にいる人を3段目へ引き上げること、登れるようにしてあげることが教育です。

ゴールを見せてあげるのは「教科書」を見せてあげることと同じです。

こうするといいよと書いてあるだけです。

 

なので、毎日の作業を通じて、色々な時と場所を共有してください。

そして「何に気づいた?」と聞くことを口癖にするんです。

その気づきを聞けば、前向きな心なのか、そうじゃないのか、成長したいと思っているのか、そうじゃないのか、一発でバレますからね。

そこで優秀な社員には、担当を与えたり、ポジションや役職を与えたりしながら、人を育てていきます。

人間、気づいたことでしか変わりませませんからね。

環境整備が最高の教育だという理由は、気づく環境を社内に整えることと、気づいたことを共有することが、大事なことだからです。

1年で10個しか気づかない環境と、100個気づく環境があるとしたら、100個気づく環境を整えた方が人は育ちやすいんです。

また、気づいたことを他の人と共有するのとしないのでは、気づきを共有することでそれを知った他の人が間接的に感性を磨くきっかけになるんです。

「〇〇さんはそこに気づいたんだ、自分は気づかなかったな。」って感じで、気づきを共有することが大切なんです。

これが環境整備の大事な考え方です。

 

そうであれば、何に気づいたかを日頃から声をかけて聞いてあげてください。

それだけで、その人の心の中が見えますから。

はい、今日の知行合一のススメは以上です。

 

煙山 光宏

1970年生まれ。
フソウ開発工業株式会社の2代目社長で、
ジッピー行政書士事務所の代表行政書士です。