建設業の働き方改革:時間外労働規制と労働環境改善の必要性

建設業界では、2023年4月より時間外労働の上限規制が適用されるようになり、働き方改革が新たな段階を迎えました。

しかし、未だに長時間労働や高齢化といった課題が山積しています。

本記事では、建設業における働き方改革の現状と、今後の課題解決に向けた具体的な取り組みをご紹介します。


働き方改革の背景と現状

時間外労働規制の導入

建設業では長時間労働が常態化しており、全産業平均と比較して月12.6時間長いことが課題です。

この状況を改善するため、時間外労働の上限規制が導入されました。

  • 労働時間の減少:過去の取り組みにより、労働時間は徐々に減少。
  • 高齢化の進行:就業者の高齢化が進み、将来の担い手不足が懸念されています。

取り組むべき課題と解決策

1. 長時間労働の改善

適正な工期設定の推進

工期の基準が改定され、以下の点が求められています:

  • 週休2日の確保:受注者と下請負人が上限規制を守れる工期を設定。
  • 自然要因への配慮:猛暑日や降雪日などで発生する作業停止期間を考慮。
  • 工程遅延時の対応:前工程の遅延があれば、協議の上で工期延長を行う。

発注者の責務

発注者には、以下の対応が求められています:

  • 設計図書と現場状況の整合性確認。
  • 天候や資材不足など不可抗力が発生した際の協議。
  • 必要に応じた契約変更の実施。

2. 労働者の賃上げ

賃上げの必要性

建設業の将来を担う労働者の確保には、長時間労働の改善だけでなく処遇改善が不可欠です。最低賃金は全国加重平均で5.1%引き上げられましたが、さらなる対応が求められます。

価格転嫁の推進

賃上げの資金を確保するためには、価格転嫁が重要です:

  • 元請と下請の協力:価格転嫁を進めることで、労働者への賃上げを実現。
  • 適正な契約締結:最新の公共工事設計労務単価や市場取引価格を反映した請負代金を設定。

3. 労働災害防止

建設業での現状

労働災害による死亡者数は減少傾向にありますが、建設業は依然として死亡者数が最も多い業種です。

安全衛生経費の確保

安全衛生対策に必要な経費を適切に見積もり、以下を徹底することが求められています:

  • 安全期間の確保:猛暑日などの自然要因を考慮した工期設定。
  • 安全衛生設備の準備:労働安全衛生法を遵守し、安全性を高める設備を整備。

読者へのお願い

適正な環境の整備

建設業の長時間労働や賃金問題、労働災害防止は、業界全体での協力が必要です。具体的には以下を推進してください:

  1. 適正な工期設定:受注者が作成した見積もりを尊重し、上限規制を守る工期を確保。
  2. 処遇改善の協力:価格転嫁を進め、労働者への賃上げを実現。
  3. 安全対策の徹底:安全衛生経費を確保し、工期に余裕を持たせる。

結論

建設業における働き方改革は、長時間労働の是正、処遇改善、安全対策の強化という3つの柱で成り立っています。

これらの取り組みが進むことで、業界の将来を担う人材が安心して働ける環境が整います。

企業や労働者一人ひとりが協力し、建設業界全体の労働環境改善を目指しましょう。

リーフレットや啓発動画も参考にし、具体的な行動を起こしてください。

煙山 光宏

1970年生まれ。
フソウ開発工業株式会社の2代目社長であり、けむやま行政書士事務所の代表行政書士です。