採用のジレンマ:土木業界で技術と人柄、どちらを重視すべきか?
人材採用の現場では、常に「技術を重視するか」「人柄を優先するか」というジレンマに直面します。
特に土木工事のように専門技術が求められる職種では、即戦力を重視したくなる一方で、現場のチームワークを乱す人材が与える悪影響も無視できません。
現場で実際に起きた問題社員の事例
ある土木工事会社で重機オペレーターとして採用された社員は、高度な機械操作の技術を持ち、現場での作業スピードや精度は非常に優れていました。
しかし、問題は彼の人柄と態度でした。
他人とのコミュニケーションを極端に避け、指示も自己流に解釈して独断で動く。
その結果、他の作業員と動きがかみ合わず、危うく事故につながるような場面が何度も発生しました。
現場の雰囲気も悪化し、他の社員のモチベーションも低下。
まさに「技術は一流でも、社会人として問題あり」という典型的な例でした。
さらに深掘りすると、このようなタイプの人材は元々「一人親方」として独立して働いていた経験があり、組織の中で人とぶつかることが多かったために、単独行動のほうが性に合っていた可能性も高いのです。
そうした背景を理解せずにチームに迎え入れると、本人にとっても周囲にとってもストレスとなり、結果として組織に不協和音が生じます。
採用で何を重視すべきか?
このようなケースから見えてくるのは、土木業界においては「技術力」だけでは不十分だという現実です。
協調性、安全意識、指示を受け取る姿勢など、チームの一員として動けるかどうかが、技術と同じくらい重要です。
特に重機を扱う現場では、些細なコミュニケーションのズレが重大事故に直結する可能性があります。
だからこそ技術だけに目を奪われるのではなく、「この人は現場で信頼して任せられる人物か?」という視点を採用段階から持つ必要があります。
ジレンマを解消する3つのアプローチ
1. 評価軸の明確化と分離
職種ごとに必要な要素をリストアップし、技術・人柄の両面でバランスよく評価する体制を整えましょう。
2. 試用期間中の重点観察
採用後すぐに本採用とせず、試用期間中にコミュニケーション面や安全意識を観察。
問題があれば再配置や教育を検討します。
3. 現場のフィードバック制度の強化
実際に一緒に働く仲間からのフィードバックを定期的に収集し、人材評価に反映させることで「現場に合う人材」の選別が可能になります。
技術者を手放せないときの対処法
もし「代わりがいない」という理由で問題のある技術者を抱え続ける場合は、業務を限定するなどの工夫が必要です。
また、メンター制度を導入し、模範となる先輩社員から間接的にマインドセットを学ばせるのも有効です。
まとめ:採用とは「チームに馴染む力」を見極めること
採用のジレンマを乗り越えるには、「人を見る視点」を変えることがカギです。
技術だけではなく、人柄・協調性・安全意識という“現場で生きる力”を見極める採用が、結果として組織全体の安定・成長につながります。
能力は仕事を通じて向上させることができますが、性格や価値観は簡単には変えることができません。
まずは採用でしっかりと見極めること。
採用してはいけない人を「能力があるから」という理由だけで採用しないことです。
採用後は、しっかりと社員教育を社長自ら繰り返し実施することがカギです。
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