共有私道の補修の問題点と整備費用の助成

共有私道の問題点

先日、位置指定道路の利用に関する迷惑行為の話しを書きました。

私道は私有地という感覚の人もいて、私道に物を置いたり自動車を駐車するケースは多く、他の利用者にとっては迷惑行為です。

私道の所有者・共有者・利用者で話し合って改善されるケースもありますが、話し合いで解決できないケースでは、紛争になることもあります。

先日の「位置指定道路」を修繕するにあたり、どのような問題があるか考えてみようと思います。

位置指定道路

B宅の前の道は「公道」ではなく「私道」で片側すみ切りの「位置指定道路」です。

この「位置指定道路」は、A・B・Cによって共有されていて、Bは必ずこの道路を通らないと公道に出られません。

私道の持分は、A(4分の1)B(4分の1)C(2分の1)が共有していて、E及びFは共有持分なし。

Bは日常生活で車2台を使用し、私道の使用頻度は一番多い。

Cの話によると50年近く経っているとのことですが、見てみるとひび割れやアスファルトが剥がれ、側溝の蓋が割れたりと酷い状態です。

この事例では、AもC私道の修理をするにあたり、一切費用を負担したくないと言っていました。

「理由は年金暮らしでお金がないから」と。

さらには「Bさんが一番使っているのだから、Bさんが勝手に修理すればいい」とまで言いだしました。

金銭的負担をしたくない気持ちは、分からないこともありませんが、自分たちで使用する道路ですから、いつかは共有者・利用者が話し合って解決しなければなりません

例えば、マンションの共有部分であるエレベーターの修繕であれば、「私は1階に住んでいてエレベーターは使わないので、費用を負担したくありません。」と言っても、それは勝手な言い分ですよね。

居住者の共有財産となりますので「その持ち分に応じてエレベーターのメンテナンス費用を負担する」と規約等に定めであるはずです。

もう一度民法の共有の条文を確認してみましょう。

公道と違い、私道はその所有者が管理することになるのですが、共有名義の私道の場合は、管理費用に関しては共有者の実費となります。

やはり、利用者みんなが気持ちよく使えるように、話し合いが大切です。当事者同士での話し合いが無理であれば、代理人を通じて話を進めるのも考えてみましょう。

次回は、自治体での費用の助成について書きたいと思います。

煙山 光宏

1970年生まれ。
フソウ開発工業株式会社の2代目社長であり、けむやま行政書士事務所の代表行政書士です。