映画『マネーボール』
映画『マネーボール』は、2011年のアメリカ映画で、オークランド・アスレチックス(メジャーリーグ)のゼネラルマネージャー(GM)、ビリー・ビーンが統計データを用いて経営危機に瀕した球団を再建する姿を描いています。
主役のビリー役はブラッド・ピット。
この映画を観た気づきと感想を、ベースボールを会社経営に置き換えて書いてみたいと思います。
不公平な戦い
経営は限られた資金の中で、必要な人材を探さなければならない不公平な戦い。
初めからアンフェアゲーム。
人材獲得で採用にお金を好きなだけ使える大手(ヤンキース)の真似をしても勝てないので、予算の範囲で選手を集めなければならない。
意思決定する経営者が「何が問題か、何が必要か」分かってないと、見当違いな戦略を立てることになってしまう。
お金で選手を集めるチームづくりに勝つためには、徹底したデータ分析。
GMの右腕=ピーター
ビリーがピーターの助言がその場を支配していることに気づき、すぐにピーターに話をしに行動したのがすごい。
ベースボールで何を把握すべきか知っているピーターをヘッドハンティング。
信頼できるピーターの徹底した分析によるチーム作り。
ビリーは3人の選手データの提出を頼んだが、51人のデータを提供したピーターはできる。
人生を金で決めないと誓ったビリーに「金額が示す価値に本当の意味がある」と言ったピーターがカッコいい。
経営で何をすべきか
ベースボールで何を把握すべきか、点の取り方をわかってないとダメで、経営も同じ。
多くの経営陣たちは、経験と感でチーム作りをしようとしているが、「経験と直観」の古いやり方では上手く行かない。
まるでどんぶり勘定のようだ。
ベースボールで何を把握すべきかを理解していない人が多い。
最初に何かを成し遂げようとする者は、必ず叩かれる「そんなことやっても無駄、できっこない」と。
GMのビリーと他の首脳陣との「ゴール」の違いと、「何が問題なのか」分かってなく、見かけの話しばかりしてもダメ。
何が問題になっているのか、個人個人では考えていることがあるが、それが共通の認識となっていないと、間違った方針・施策を求めることになり、成果も出ない。
人材の評価
人材の評価には、先入観や目に見える欠陥、年齢、見かけなどが入っているが、そこに数字でメスを入れることが重要。
選手の本当の価値を見出す事(出塁率)が大事で、経営も同様。
ひとりの欠員を3人の故障者?で補う!?怪我人でも使い方次第では活躍のチャンスがある。
経験と直感などの主観的な要素ではなく、客観的な数字で評価すること。
能力はあるが考え方が×な人や、能力も考え方も×な人は、お互いのためにクビにすることも必要。
既得権が脅かされる人は、将来、仕事を失うかもしれない人。
人材獲得
いなくなった人の代わりは探せないけど、穴埋めはできる。
選手の起用で、経験のないポジション(スコットの一塁手)は教えればいい。
デーモン選手の放出は正解、なぜならそれによってあらゆる可能性が出てきたから。
経営も同じで、ひとりの有能な社員の退職によって、別の選択肢が可能になることがある。
選手の本当の価値を見抜く力がある(年齢や見た目、関係のないことで判断しない)人の評価には、先入観や目に見える欠陥、年齢、見かけなどが入っているが、そこに数字でメスを入れることが重要。
その選手に本当に自信があるのかどうか、見極められるスカウトはいない。(ビリーの実体験)
人材採用も2・3回の面接で、その人を見極めることは不可能である。
個人の能力(経験と勘)に頼ったスカウトではダメ。
選手データのような職人データが欲しい!
現場の戦い方
ベースボールは古臭い世界、土木も古臭い業界。
方針が現場に伝わっていないと機能しない。
お金で選手を買うのではなく、勝ちを買う。勝つには得点が必要。
得点するには、得点の取り方をよく知ることが大事。(点の取り方を分かっている人を集める)
「現場が機能しないのは現場監督のせいじゃない」と部外者は批判するが、監督が自分の考えを優先して戦略を無視していることが大問題で、方針が現場の監督が実行せず自分の采配にこだわって負けが続き、まず素直にやってみることの重要性。
経営者の決断通りに動かないと、何がダメなのか次の手を打つことができない。
優勝までに必要な勝ちの数から逆算して戦略をねることが大事。
プロの仕事
クビを言い渡すのも仕事、プロにははっきり言うのがよい、自分を演じる(選手放出)。
経験と直感の今までのやり方を変えられず、方針に従わないならクビも仕方ない。
プロなら、その時の感情で物事を決めてはいけない。
ビジョン(志)
新しい考え方や方針は、はじめは反発され受け入れられない。
自分が本気で信じているかが大事、人に説明する必要ない。
自分の信じた好きな道に熱中できる人はカッコいい!
マネーボール理論は機能しないと言われたが、のちにレッドソックスがビリーの理論を実証した。
幹部社員の役割
ベテラン(幹部)に望む役割を明確に伝え、理解させ実行させる。
幹部社員に仲間が「何に不安があるのか」を聞き取らせるのも役割。
過去のあなたではなく今のあなたにお金を払っていると、44歳ジャスティスに「若手の手本になれ」と役割を自覚させた。
優勝するからその気でやれ!
社員の役割
社員にストラテジーを理解させる、何をすべきか、何を選択するのか、ときには駆け引きも必要。
選手の価値(出塁率)を数値化する。
選手たちの今までの自己流の考え方ではなく、考え方を教育する重要性(塁に出ろ、消耗戦)
GM=ビリー
自分の本気で信じた好きな道に熱中できる人はカッコいい!人に説明する必要ない。
首脳陣メンバーが提案し、ビリーが決定(チームの方針)。
会社も幹部社員が提案し、社長が決断、社員が実行することが絶対。
悪いジンクスにとらわれず、選手たちを信じること。
まとめ
この『マネーボール』実は、経営塾の課題でもう4年連続で4回観ています。
でも毎回、その時の自分に置かれている状況や課題によって、毎回、刺さるポイントが変わるのが面白い。
中小企業の経営者にはぜひ観てほしい映画のひとつです。