vol.127_謝罪は関係を改善するためだけに行う。【謝る】0046

明らかに自分に落ち度がある場合、謝罪をするのはとても大事なことです。

ただ、ここで考えておきたいのが謝罪をする理由についてです。

ほとんどの人にとって「自分の言動によって、何らかの不利益や不快感を与えてしまったことに対し、申し訳なく思う気持ちを相手に伝えたい」というのが、謝罪をする第一の理由だと思います。

でも、その裏には「謝罪をしないと、相手の気持ちがおさまらない」とか「謝罪をすることによって、相手に許してほしい」という思いが隠れているんです。

問題は何かというと「許してほしい」という気持ちが「許してもらえるなら何でもする」という気持ちに変化しやすく、そのために相手からの要求を許し、自分の人生のコントロール権を手放してしまいやすい点です。

「謝罪をする」ということは、どうしても相手に対して負い目を感じ、立場が弱くなります。

謝罪した側の負い目や、その裏の「許してほしい」という気持ちにつけ込んでくる人が世の中にはいます。

わざと商品やサービスにケチをつけ、値引きや追加のサービスを要求するタイプのクレーマーなどが、謝罪する側の負い目を利用している人の例です。

謝罪する側が、ついつい相手の言いなりになってしまってはダメなんです。

重要なのは「心を込めて謝罪すること」に対して、「相手に許してもらうこと」「相手からの要求を許すこと」は、まったく別の問題だということを、しっかり認識することです。

謝罪や反省は謝罪をする側の領域であり責任をもって行う必要がありますが、「許すかどうか」はあくまでも謝罪される側の領域です。

 

謝罪の目的は許してもらうことではなく「関係を改善すること」にあります

だから謝罪をしたあと、謝罪を受け入れたあとに、どのような態度でどのように行動すればお互いにとってよりよい状況になるのかを、対話しながら考え尽くすことがフェアな謝罪のあり方ではないかと思っています。

もしみなさんが謝罪をしても相手が納得していない場合に、相手が求めている内容が客観的に見て妥当でフェアなものであり、あなたにとって無理なく応じられる範囲のものであれば受け入れてもいいかもしれません。

しかしそうでない場合は、相手との関係性自体を見直したほうがよいと私は思います。

謝罪をしているあなたに、必要以上の要求をしてくる相手と果たして今後もフェアな人間関係を作ることができるか疑問だからです

相手が求めているものを検討するときには、決して「許してもらおう」と必死になったり焦ったりしないことです。

もし信頼できる第三者がいるなら、その人に丁寧に事情を説明し、意見を聞いてみることもしてみてくださいね。

 

煙山 光宏

1970年生まれ。
フソウ開発工業株式会社の2代目社長で、
ジッピー行政書士事務所の代表行政書士です。