建設業許可の重要性と法令遵守:無許可営業が招くリスクと対策

私が行政書士として建設業許可申請をやっていると、こんな建設業者に会ったことがあります。

「建設業許可を持っていないのに、昔からの付き合いでずっと無許可で工事を請け負っていて、元請けから仕事をもらえるからうちは建設業許可は取らないんだ」という建設業者がいました。

また別の案件では、「工事を受注するにあたって契約書つくる段階で、発注者から建設業許可書を出してくれと言われたんだけど、うちでは建設業許可を持ってないんだ。許可がなくても大丈夫だって一筆書いてくれないか」という相談もあります。

当然、行政書士は正しくない文書を作成お渡しするわけにはいかないので、キッパリと「できません」とお答えすることになります。

びっくりですね。

今までは、たまたまバレずに行っていたのでしょう。

ある日、県の監督部署から「建設業法違反の疑いがあるから調査したい」と連絡が入りました。

県では定期的に建設業法違反がないか地域の建設業者などをチェックして、必要に応じて巡回監督しています。

 

違反が発覚した際、軽微な場合は口頭での指導ですむ場合や、程度によって文書による指導または指示などのケース、最悪の場合は刑事罰を課されることもあります。

時々「建設業法違反(無許可営業)」などニュースになることがあまりすよね。

 

調査が来たケースでは、無許可であっても建設業許可を必要とする金額の案件を近年受注していなかったことなどから、口頭による指導があっただけで終わりましたが、その後すぐに建設業許可を取得することになりました。

建設業者は、建設業法に基づいて許可をとり、その範囲で事業を行っていることを忘れてはいけません。

近年の法令遵守の意識の高まりにより、1件あたりの請負金額が500万円以下の場合であっても、発注者や元請業者の意向で建設業許可を取得していることが望ましいとされるケースが多くなってきています。

 

また、建設業者以外の事業者でも、メイン業務を行う上で業法上の建設工事に該当する作業が付帯することで、建設業許可を取得する必要が出てくるケースも多くあります。

例えば、大型機械の製造メーカーなどが、工場などへの納品の際に設置する作業までが売買契約の内容に含まれる場合です。

メーカーの認識としては「販売しているだけ」であっても、設置作業が建設業法上の建設工事に該当する可能性がある場合には、メーカーだけれども建設業許可を取得する必要が出てくるケースがあるので要注意です。

 

現在は「法令遵守はやっていて当たり前」の時代なので、法令違反の状態は一刻も早く是正すべきなのです。

建設業許可に限りませんが、自社の業務範囲で許認可等が必要な可能性のある業務については、上記のような失注が発生しないよう、常に受注可能なように許認可等を整備している必要があります。

煙山 光宏

1970年生まれ。
フソウ開発工業株式会社の2代目社長で、
ジッピー行政書士事務所の代表行政書士です。